原発汚染処理水海洋投棄の欺瞞
かつて日本は、いや当時先進国といわれていた多くの国々が公害に侵され、工場からまき散らされた有毒物質により多くの人々が苦しんだ。
例えば、欧米では工場から排出された二酸化硫黄ガスにより酸性雨が大量発生。それは近郊の山々を枯らせ、丸裸に。また、工業排水は住宅地の河川をドス黒く汚染。世界中のそこかしこに死の川や死の海岸線を現出させた。
翻って我がニッポンでも、水俣病を皮切りに、四日市ゼンソク、川崎病、新潟のイタイイタイ病など各地で原因不明(当時)の疫病が発生。発覚から半世紀以上経ったいまでも、国は「(国土汚染との)因果関係は認められず」として責任を放棄。被害者たちの一部は放って置かれたままだ。
いま、それと同じ愚を日本国政府と東電福島第一原発事故の当事者たちが繰り返そうとしている。
原発汚染水の海洋投棄だ。
政府や東電、さらには公正であるべき科学者たちでさえ「原発を持つ多くの国々でも海洋投棄を行っている」「トリチウムは無害に近い」等々、まさに海洋放出を大義名分かする大合唱。
しかし、原発所持国の多くが汚染水を海洋放出しているからといって、日本でもやってよいとの理屈は暴論すぎる。また、トリチウムが無害との科学的根拠は、いまだ寡聞にして知らない。
その原発汚染水の海洋投棄決定が政府発表されたとき、これを皮肉るように某紙に以下のような俳句(読者投稿)が載った。
薄めてもたくさん飲めば酔っぱらう(詠み人知らず)
~~~ ~~~ ~~~
酸性雨や河川・土壌汚染、はたまた有害物質PCBで東京湾が “死の海”となったとき、多くの科学者や技術者たちが奮起し、世界に冠たる「脱硫装置」を開発。見事、公害一掃の一助となったのは記憶に新しい。また、この技術を世界各国に輸出。日本が人類に供する技術立国として世界に認められた瞬間だった。
原発汚染水の海洋放出もしかり。地球にやさしい技術は、いま、そこにある。
もちろん、いまだ未完成技術ゆえ「カネがかかり過ぎる」「効率的でない」などなど問題は山積みだろう。
でも、これを克服し、新たなる技術を開発すれば、再び日本が技術立国として輝く日も決して夢ではない。
いまから、今日からでも、まだ遅くはない。
科学者・技術者たちの奮起を期待してやまない。
0コメント