原発事故 「想定外」ではなかった津波リスクー照明灯 | 神奈川新聞 | 2021年12月15日より

原発事故 「想定外」ではなかった津波リスクー照明灯 | 神奈川新聞 | 2021年12月15日より

※ぜひご一読ください!(当HP責任者・ホリ)

原発事故は「想定外」の大地震がもたらしたのではなかった。事故後に大手新聞の記者からフリーに転じた科学ジャーナリスト・添田孝史さんの近刊「東電原発事故10年で明らかになったこと」(平凡社新書)を読んで、あらためてそう理解した

2002年に政府の地震本部が発表した長期的な予測(長期評価)。巨大な津波を引き起こす「津波地震」が太平洋沖の日本海溝で今後30年以内に20%程度の確率で起きるとされた。以後、対策の必要性が何度も論じられながら福島第1原発では実行に移されなかったのだ。

想定津波高が「余裕ゼロ」でリスクになっていることも07年には分かっていた。審査を担う経産省原子力安全・保安院から難詰された会合も判明した。

千年に一度の巨大地震とされる貞観地震(869年)の津波リスクも認知されていた。5㌔離れた浪江町で、東北大が07年にその痕跡を見つけていた。同じく想定津波高に余裕がなかった東海第2原発では、日本原電が対策を打つ。完了は1カ月前で、かろうじて間に合った。

この10年で分かった新事実が全体像を浮かび上がらせる。想定外の津波リスクはやはり想定されていた。東電と国は「想定外」を印象づけることによって責任を糊塗してこなかったか。

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